
Stable Diffusionで画像を生成してみたけど、画像がぼやけてしまって思うようなクオリティにならない…
何か間違っているのかな?

そんな方へ向けて、画像がぼやけるときの対処法を5つまとめました!
①画像サイズの最適化
画像サイズは、モデルの推奨サイズから大きく外れると画像がぼやける可能性があります。
Stable Diffusionのモデルが学習時に扱われる画像サイズとある程度一致させる必要があります。
例えば、以下の画像はSDXLで生成した画像ですが、画像サイズを推奨値を大きく下回る512×512にしてしまうと画像がぼやけてしまいました。

設定値を推奨値に合わせないとぼやける

Animagine XL 4.0を使用
モデルの公開ページでも画像の推奨サイズが記載されていることが多いので確認してみましょう。
②品質プロンプトの使用
品質を向上させるプロンプトを追加することで、画像のぼやけを防ぐことができます。特に、モデルの説明で推奨されているプロンプトは必ず使用しましょう。
モデルによっては品質向上プロンプトを前提に調整されていることもあります。これらを使用しないと本来の性能を発揮できません。また、ネガティブプロンプトでぼやけを防ぐ指定をすることで、より鮮明な画像を生成できます。
例えば、Animagine XL 4.0というモデルでは、モデルの公開ページに品質向上タグを追加するよう記載があります。
Add these tags at the start or end of your prompt:
Animagine XL 4.0 – v4.0 | Stable Diffusion XL Checkpoint | Civitaimasterpiece, high score, great score, absurdres
さらに、ネガティブプロンプトについても推奨のプロンプトが記載されています。
3. Recommended Negative Prompt
Animagine XL 4.0 – v4.0 | Stable Diffusion XL Checkpoint | Civitailowres, bad anatomy, bad hands, text, error, missing finger, extra digits, fewer digits, cropped, worst quality, low quality, low score, bad score, average score, signature, watermark, username, blurry
品質タグを含むプロンプトの例:
safe, masterpiece, high score, great score, absurdres, 1girl, casual, solo, looking at viewer, outdoors, smile, arms behind back, head tilt, cherry blossoms,
品質タグを含むネガティブプロンプトの例:
lowres, bad anatomy, bad hands, text, error, missing finger, extra digits, fewer digits, cropped, worst quality, low quality, low score, bad score, average score, signature, watermark, username, blurry,
イラスト比較:


※両方とも同じシード値で生成。プロンプトの違いのみ

影響度合いはモデルにもよりますが、品質プロンプトの使用を推奨しているモデルは特に品質プロンプトを使用しないと画像がぼやける可能性があります。モデルの公開ページで推奨プロンプトを確認してみましょう。
③ぼかし系タグなど、プロンプトの影響確認
プロンプトにぼかしを表現する単語が含まれていると、意図せず画像がぼやける可能性があります。ChatGPTなどでプロンプトを生成&コピペした場合などは、意図せず含まれている可能性があるので、注意して確認してみましょう。
ぼかし関係のプロンプト:
- blur, blurry (ぼかし)
- depth of field(被写界深度)
- bokeh (ボケ)
- backlight (逆光)
- diffused light (拡散光)
- misty (霧がかかった)
- hazy (もやがかかった)
- foggy (霧)
blurryなどのタグを使用すると次の画像のように画像がぼやけることがあります。





ぼかし系以外にも画風関連のタグを使用したりしますが、組み合わせによっては人物がぼやけることもあるかもしれません。そういうときは一旦外してシンプルなプロンプトで生成してみましょう!
シンプルなプロンプトの例:
safe, masterpiece, high score, great score, absurdres, 1girl, casual, solo, looking at viewer, outdoors, smile, arms behind back, head tilt, cherry blossoms,
safe,
:年齢対象→全年齢対象(Animagine XL 4.0でサポートされているコンテンツ安全性のタグ)masterpiece, high score, great score, absurdres,
:品質タグ(Animagine XL 4.0で推奨されている品質タグ)1girl,
:対象物→1人の女の子casual,
:服装→私服solo,
:ソロlooking at viewer,
:目線→こちらを見ているoutdoors,
:背景→屋外smile,
:表情→笑顔arms begind back, head tilt,
:動作→腕を後ろにして首を傾けるcherry blossoms,
:桜

それぞれが矛盾しないように組み合わせるのがポイントです!
④Loraの影響確認
Loraを使用している場合はLoraの設定値を変えることで改善する可能性があります。以下の点に注意して確認してみましょう。
- Loraの影響かどうかを確認するために先ずはLora無しでぼやけないか確認
- 設定値が公式の推奨している値になっているか確認
例えば、flat_sdxlというLoraでは以下のように設置値が異なると大きく画風が変わります。


Loraの設定値で画風が大きく変わる例

Loraの説明に推奨値が記載されている場合はそれに従うようにしましょう。
⑤画像の高精細化
画像を高精細化することで画像のぼやけが改善する可能性があります。
ここではStable Diffusion Web UIで使用できる2つの高精細化方法をご紹介します。
Hires.fix
生成時に「Hires fix」オプションを有効にすることで、アップスケーリングとノイズ除去を組み合わせた高精細化処理が適用されます。

設定例:
- Upscaler: Latent(高精細化アルゴリズム。Latentは高品質な結果を得やすい)
- Hires steps: 20(高精細化処理のステップ数。値が大きいほど処理に時間がかかります)
- Denoising strength: 0.5(ノイズ除去強度。大きくすると元画像からの変化も大きくなりますが、大きすぎるとぼやける可能性があります。)
- Upscale by: 1.5(元の画像の1.5倍に拡大)
比較画像:


高精細化機能を活用することで、より鮮明で高品質な画像を生成することができます。様々な設定を試して、最適な設定を見つけてみましょう。
Extras
Extrasは外部のアップスケールアルゴリズムを利用して、画像生成後にさらに解像度を高める方法です。

text2imgで生成した画像のすぐ下にある三角定規のアイコン📐をクリックすると、Extrasタブへ画像の情報を引き継ぐことができます。
設定例:
- Upscaler 1:R-ESRGAN 4x+ Anime6B(アルゴリズムを選択できます。特にこだわりが無ければR-ESRGAN系でいいかと。)
- scale by: 1.5(元画像の1.5倍に拡大)

比較画像:


Hires.fixとExtrasの違い
違いを表にまとめました。
項目 | Hires.fix | Extras |
---|---|---|
処理タイミング | 画像生成時 | 画像生成後 |
GPU負荷(処理時間) | 高負荷(処理時間が長い) | 低負荷(処理時間が短い) |
メモリ使用量 | 多い | 少ない |
プロセス調整の自由度 | ◎(多数のパラメータ調整可) | ○(アップスケーラーの選択のみ) |
主な用途 | イラスト、精密な仕上げが必要な画像 | 写実的な画像、素早い拡大が必要な場合 |
設定の複雑さ | やや複雑 | シンプル |
バッチ処理 | 生成時のみ | 後からまとめてバッチ処理が可能 |
推奨される場面 | ・高品質な一枚絵を作りたい時 ・画風の統一が重要な時 | ・大量の画像を処理したい時 ・写真っぽい仕上がりを求める時 ・メモリに余裕がない場合 |


まとめ
画像がぼやける原因は複数存在し、以下の5つのポイントを確認することで改善できる可能性があります。
- モデルごとの推奨サイズを使用(例:SDXL系は1024×1024など)
- 推奨サイズから大きく外れると画質低下の可能性
- モデルの推奨品質タグを必ず使用
- ネガティブプロンプトでぼかしを防ぐ設定を含める
blur
などのぼかし表現を確認- 特にAIで生成&コピペしたプロンプトは要チェック
- 複雑なプロンプトでは矛盾がないかチェックが難しいのでシンプルなプロンプトで試してみる
- まずはLoraなしで確認
- モデルの推奨値がある場合は従う
- Hires.fix
- 高負荷(処理時間が長い)だが、ノイズ処理を含むため精密な仕上げに向いている
- Extras
- 低負荷(処理時間が短い)で単純な拡大が可能
以上の内容に注意して対処することで、ぼやける問題の対処を図ることができます。
ぼやけの原因は複合的なこともあるため、一つずつ確認しながら、ご自身の環境に最適な設定を見つけていくことをお勧めします。

以上参考になれば幸いです!