Stable Diffusion WebUIで画像生成を楽しんでいると、あっという間にストレージ容量が足りなくなりませんか?
モデルファイルや生成画像、拡張機能など、気づけばドライブ容量が圧迫され、「そろそろどうにかしないと…」と悩む方も多いはず。
そんなときに便利なのが「外付けSSD」。
私自身、最初は深く考えずCドライブにインストールして使っていましたが、モデルや生成画像が容量を圧迫してくるので外付けSSDに移行しました。
ただ、SSD選びは意外と悩ましいもの。
「どの容量を選べばいい?」「読み込み速度はどれぐらい必要?」と迷う方もいるでしょう。
本記事では、Stable Diffusionユーザー向けに、外付けSSD導入のメリット・デメリット、おすすめの外付けSSDについて解説します。
外付けSSDのメリット
Stable Diffusion WebUIを外付けSSDで運用するメリットは、主に以下の3つです。
- ストレージ容量の拡張が簡単
- 別PCへの付け替えが簡単
- HDDからの移行なら読み込み速度が向上する
以下、それぞれ解説します。
ストレージ容量の拡張が簡単
外付けSSDを使えば、Stable Diffusionの運用で不足しがちなストレージ容量を手軽に拡張できます。
モデルファイル(Checkpoint)やVAE、生成画像など、Stable Diffusionでは大量のデータを扱います。
特にモデルファイルは1つあたり数GBであることが多く、内蔵ストレージを圧迫しやすいです。
私の場合、StableDiffusionのローカル環境での画像生成を初めて4ヶ月程度で、モデルが20個程度で約70 GBでした。生成画像が約30 GB、VAEが約3 GB 、Loraが約1 GB、その他のファイル含めフォルダ全体では合計約112 GBを使用しています。これを内蔵SSDで運用していたら、システムドライブの容量をそれだけ圧迫することになります。
モデル(checkpoint) | 約70 GB |
---|---|
生成画像 | 約30 GB |
VAE | 約3 GB |
Lora | 約1 GB |
~4ヶ月程StableDiffusionを使用してみて~

あっという間に100 GB以上になってしまいました…

~4ヶ月程StableDiffusionを使用してみて~
別PCへの付け替えが簡単
外付けSSDを使えば、Stable Diffusionの環境を別PCに移す作業が簡単になります。
外付けSSDにWebUI本体やモデル、生成データをまとめて保存しておけば、PCを買い替えたり、サブ機に移行する際に外付けSSDを付け替えるだけでデータの移動ができます。
HDDからの移行なら読み込み速度が向上する
既にHDDで環境を用意している人はHDD環境からSSDに移行することで、WebUIの起動やモデルの読み込み速度が大幅に向上する可能性があります。
理由はシンプルで、SSDはHDDに比べてデータ転送速度が圧倒的に速いためです。
特にモデルを頻繁に切り替えるような使い方をしている方ほど、作業効率が大きく改善されるでしょう。
外付けSSDのデメリット
一方で、外付けSSDのデメリットとして以下の3点が挙げられます。
- 費用が掛かる(HDDより高価)
- USBポート周りの注意が必要
- USB接続が読み込み速度のボトルネックになる
以下それぞれ解説します。
費用がかかる(HDDより高価)
外付けSSDは、容量が大きく信頼性のある製品ほど価格が高くなり、コストが負担になります。
大容量・高速タイプや、信頼できるメーカー製品ほど単価が高くなるためです。
特にStable Diffusion用途では100 GB以上のデータを扱うケースが多いため、500 GB 〜 1 TBクラスを選ぶことになりがちです。

最近の相場では1 TBのSSDで1万円〜2万円ぐらいが多い印象です。
USBポート周りの注意が必要
外付けSSDは便利ですが、設置場所や接続部分に気を配らないと、思わぬストレスやトラブルにつながることがあります。
具体的には、以下のような注意点があります。
- USBポートを1つ専有する
→ 他の周辺機器が多いと、ポート不足になる可能性があります。 - デスク周りがスッキリしなくなることも
→ ケーブル接続タイプの場合、机上にSSDや配線が増え、見た目がすこしごちゃつきます。 - 引っかかり・接触不良に注意
→ ケーブルやSSD本体が何かにぶつかったり、引っかかって抜けてしまうと、生成作業が中断するリスクがあります。
「頻繁に抜き差しすることはないし、見た目もスッキリさせたい」という方は、内蔵型SSD(SATA接続やNVMe)を増設する方法がおすすめです。
PCケース内部に取り付けるため、デスク周りがスッキリするだけでなく、接触不良や抜け落ちの心配もなくなります。
ただし、内蔵型SSDを増設する場合は以下のような点に注意が必要です。
- 空きスロット(SATAポートやM.2スロット)があるか要確認
- ケース内部で開けて取り付け作業が必要
- 設定作業(フォーマットと認識設定)が必要
USB接続が読み込み速度のボトルネックになる
外付けSSDは、接続するUSBポートの規格によって転送速度が頭打ちになる場合があります。
たとえば、数千MB/sの高速SSDでも以下のUSBを経由すると、USB側の速度までしか出なくなります。
- USB 3.0/3.1 Gen1(5 Gbps)ポート → 最大500 MB/s程度
- USB 3.2 Gen2(10Gbps)ポート → 最大1,000 MB/s程度
最近は1000 MB/s以上出る高速な外付けSSDも増えています。せっかく速いSSDを使用してもGen1のポートに接続してしまうと500 MB/s程度しか出ません。
一方で、内蔵型SSD(SATA接続やNVMe接続)であれば、マザーボードに直接接続するため、USBポートの規格によるボトルネックは発生しません。
最近では、1TBで6,000 MB/sを超える読み込み速度のNVMe SSDが1.3万円程度で購入できる製品も出ています。
「読み込み速度重視」という方は、内蔵型SSDの増設も検討してみるとよいでしょう。
ただし、前述の通り空きスロットの確保や取り付けや設定作業が必要になる点には注意が必要です。
Stable Diffusion用の外付けSSDの選び方
それでは、Stable Diffusion用の外付けSSDの選び方を
- SSDの容量目安
- SSDの転送速度とUSB接続規格
の2点に絞ってお伝えします。
SSD容量の目安
Stable Diffusion WebUI用に外付けSSDを選ぶなら、想定する使用容量の2倍を目安に1、最低でも500GB、できれば1TB以上を選ぶのがおすすめです。
理由は以下の2点です。
- SSDは容量いっぱいまで使うと書き込み速度が落ちたり、寿命が縮むため、常に半分程度は空き容量を確保して運用するのが理想的
- Stable Diffusionではモデルや生成画像がどんどん増えていくため、最初は少なくても、後々すぐに容量不足になりがち
例えば、現時点で250 GB使う予定なら、最低でも500 GB以上のSSDが必要です。
長く使いたい人は、最初から1 TBや2 TBを選んでおくと、途中で買い替える手間も減らせます。
長時間の自動生成や動画生成などの用途も視野に入れている場合は、4 TBや8 TB以上も選択肢に入ってくるでしょう。

参考までに、私の場合、Stable Diffusionを使い始めて4か月ほどで合計約112 GBになりました。使用しているのは256 GBのSSDですが、「そろそろ大きめのSSDに移行しようかな」と考えています。
(…と思ってこの記事を書いています)
SSDの転送速度とUSB接続規格
SSD選びで押さえておきたい転送速度に関する3つのポイントは下記の通りです。
- SSD転送速度の画像生成速度への影響は小さい
→ 画像生成速度は主にGPU性能で決まります。 - SSDの速度が影響するのはデータの読み込み・書き込み時
→ 起動時やCheckpoint・LoRA切り替え時に速度差を感じることがあります。 - 「おすすめは1,000 MB/s以上」「気にしないなら500 MB/sでも十分」
→ 「読み込み速度1,000 MB/s以上」かつ「USB 3.2 Gen2ポートに挿す」ならより快適ですが、500 MB/sクラスでも問題なく使えます。
以下それぞれ解説します。
ポイント①:SSD転送速度の生成速度への影響は小さい
GPUの性能に比べれば、SSDの性能は画像生成速度への影響は小さいです。
画像生成処理は主にGPUの性能に依存しています。
一度モデルを読み込んでしまえば、生成時にはメモリ上で処理が行われるため、SSDのストレージ読み込み速度はあまり関係なくなります。(連続生成する際など全く関係ないわけでは無いですが、基本的にはあまり気にならないと思います)
ポイント②:SSDの速度が影響するのはデータの読み込み・書き込み時
SSDの速度が影響する場面は、主にモデル読み込み時(起動時やモデル切り替え時)です。
Stable Diffusionでは、Checkpointモデル1つが数GBあるため、起動時やモデル切り替え時には、SSDからその大きなデータを読み込む必要があります。
SSDの読み込み速度が遅いと、その分読み込みに時間がかかり、待ち時間が長くなることになります。
ポイント③:「おすすめは1000 MB/s以上」「気にしないなら500 MB/sでも十分」
最近は1000 MB/s以上出る外付けSSDも手頃な価格になってきており、頻繁にモデルを切り替える人には待ち時間短縮の恩恵があります。
ただ、読み込み時間が多少長くても気にならないなら、500 MB/sクラスでも問題なく運用可能です。
さらに注意点として、速いSSDでも「USB 3.2 Gen2(10 Gbps)」ポートにつながないと性能を活かせません。
USB 3.0(5 Gbps)ポートだと500 MB/s程度で頭打ちになります。
対応しているUSBポート | おすすめのSSD読み込み速度 |
---|---|
USB 3.0 / 3.1 Gen1(5 Gbps) | 500 MB/sクラスでOK(それ以上速くてもUSB側がボトルネックになる) |
USB 3.2 Gen2(10 Gbps) | 1,000 MB/sクラスで快適(それ以上速くてもUSB側がボトルネックになる) |
迷ったらこう考える
おすすめのSSD
おすすめの外付けSSD
手軽さ・低コストを重視するなら
500 GB
1 TB
こちらの外付けSSDは、手軽に導入できるスティック型の外付けSSDです。ただし、最大読込速度が500MB/sクラスと他の製品に比べて遅いため、「起動やモデルの読み込み時間はあまり気にしないが手軽に容量を増やしたい」方が向いています。
- 接続するだけで使える
- 比較的安価
- 読み込み速度は500MB/sクラス
読み込み速度と手軽さのバランスを重視するなら
こちらの外付けSSDは、国内メーカーKIOXIA製で、性能と手軽さのバランスがとれます。
USB 3.2 Gen2のポートに接続すれば、最大読み込み速度1,000 MB/sクラスの転送が可能です。
モデル切り替え時や起動時などによりストレスを感じにくくなるのでバランスのとれたおすすめの選択肢です。
- 接続するだけで使える
- USB 3.2 Gen2ポートに接続すれば、1,000 MB/sクラスの高速転送
性能・カスタマイズ性を重視するなら
内蔵型SSDを外付けで使いたい場合は、内蔵型SSDと外付けケースを組み合わせる方法があります。※この場合、速度は大抵USB側がボトルネックになります。
自分で組み合わせる手間はありますが、
「余っているSSDを活用できる」「SSD単体で選べる」「後からSSDだけ交換できる」といったメリットがあります。
→ 「性能重視・カスタマイズ好き」なら、この方法もおすすめです。
- 信頼できる内蔵型SSDを外付け化
- ケースと組み合わせればコスパや性能のバランスを自分で調整できる
- 将来、内蔵型に転用したり、ケースだけ使い回すことも可能
WD_Black SN850Xについては次の節で解説しています。
おすすめの内蔵型SSD
空きスロットもあり、取り付け可能な方には以下の内蔵型のSSDがおすすめです。
WD_Black SN850Xは「迷ったらこれ!」と言える、定番人気の内蔵型SSDです。
Stable Diffusion用としても、性能・信頼性・価格のバランスが非常に優れており、安心して選べます。
特に、「どうせ増設するなら速くて長く使えるものを!」という方にはピッタリです。
価格も1TBモデルで1.1万円前後と、ハイエンドSSDとしてはコスパも良好。
「内蔵型SSDのおすすめを1つだけ挙げるならこれ」と言える鉄板モデルです。

私はCドライブをWD_BLACK SN850Xで運用していますが快適に使えています!
Q&A
まとめ
本記事ではStable Diffusionのローカル環境を想定して、外付けSSDで運用するメリットやデメリットを解説しました。また、外付けSSDと内蔵型SSDに分けて、おすすめの製品も紹介しました。
まとめると以下のようになります。
メリット:
- ストレージ容量の拡張が容易:モデルファイルや生成画像など、Stable Diffusionでは大量のデータを扱うため、外付けSSDによる容量拡張は非常に有効2。例えば、4ヶ月程度の利用で100GBを超えるデータを保存するケースもあります。
- 別PCへの付け替えが簡単:WebUI本体やモデル、生成データをまとめて保存しておけば、PCの買い替えやサブ機への移行が容易になります。
- HDDからの移行で速度が向上:HDD環境からSSDへ移行することで、WebUIの起動やモデル読み込み速度が大幅に向上する可能性があります。
デメリット:
- 費用:外付けSSDはHDDに比べて高価であり、特に大容量・高速タイプは価格が高くなります。
- USBポート周りの注意:USBポートを専有することや、ケーブルによる配線が煩雑になる可能性があります。
- USB接続が速度のボトルネックになる可能性:USBポートの規格によっては、SSDの性能を十分に発揮できない場合があります。
SSDの選び方:
- 容量:使用予定容量の2倍を目安に、最低でも500GB、できれば1TB以上が推奨されます。
- 転送速度:画像生成速度自体はGPU性能に依存しますが、モデル読み込み時にはSSDの速度が影響します。1,000MB/s以上のSSDが推奨されますが、USBポートの規格も確認が必要です。
おすすめのSSD:
- 手軽さ・低コスト重視:スティック型の外付けSSDが推奨されます。
- 読み込み速度と手軽さのバランス重視:KIOXIA製の外付けSSDが推奨されます。
- 性能・カスタマイズ性重視:M.2 NVMe SSDと外付けケースを組み合わせる方法もあります。
- 内蔵型SSD:「WD_Black SN850X」は、性能・信頼性・価格のバランスが優れておりおすすめです。
注意点:
- 生成速度と読み込み速度を混同しない:画像の生成速度はGPU性能、モデルの読み込み速度はSSDに依存。
- USBポートの規格:高速なSSDを使用する場合、USB 3.2 Gen2(10Gbps)ポートに接続しないと性能を十分に活かせません。
- SSDの空き容量:SSDは容量いっぱいまで使うと書き込み速度が低下する可能性があるため、できれば半分程度の空き容量を確保して使用する。

以上、参考になれば幸いです!
- SSD内のメモリには書き込み回数の限界が存在する。同じ部分だけ書き込みまくると消耗が早くなってしまうのでそれを防ぐためにウェアレベリングという技術で均等に消耗するようになっている。空いているメモリも消耗の平滑化に使用されるため、使用容量の2倍を目安に選んでおくと安心して長く使える ↩︎